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それからは特訓の日々
 ...ロロ→ライ
包んで隠して抱き締めて
  ...ロロ→ルル前提、ロロライ
鳥だったり猫だったり。
  ...ライC
愛の逃避行…?(>>後日談)
  ...ライC
こちらこそ、ごめんなさい
  ...ライナナ












ロロ→ライ。二人とも学生。ほんわか。









――……♪


音楽室から、歌。
それって当たり前のことだけど、僕には気になってしかたがない(だって、声が僕の大好きな人のようだから)。
少し開いているドアに手をかけて、音を立てないようゆっくりスライドさせた。

彼が、ライいた。すぐこっちに気がつく。僕の姿を確認して微笑んでくれた。正直かなり嬉しい(でも、そのかわり歌うのをやめてしまった)。

「やぁ、ロロ」
「どうしたんですか、こんなところに」
「ピアノを弾きに寄ったんだ」
「歌ってたじゃないですか」


「……聴かれてしまったか」と恥ずかしそうに照れ笑い(可愛いなぁ)。


「ピアノ、弾けたんですね」
「嗜み程度だがな。あとヴァイオリンやチェロやフルートとかもその程度なら。ロロは?」

そう言いつつも、初めてでもだいたいの事柄をすぐにこなしてしまう彼はすごい。そう思いながら兄さんに指導してもらったのもあるので「ピアノは、少し」と自信はないが答えた。

「そうなのか。ならぜひ聴かせてくれ」
「そんな、急には……それに難しいのは弾けませんよ?」
「ロロの好きな曲を弾いてくれればいいよ」

あぁ、なんでそんな期待した瞳で僕を見るのかな。断れないし、プライドで下手なものを聴かせられないじゃない。

「……じゃ、二週間待ってください。練習します」
「そんな本格的でなくても……でも、なら期待しようかな」

また笑った。綺麗な顔で可愛いく笑うとか卑怯だと思う。無意識に頬が熱くなる。僕はそれを誤魔化すように彼に要求を出した。

「そ、その代わりライさんは」
「ん?」
「……さっきの歌、歌ってください」

歌、とっても綺麗だった。透き通ったライの声にピッタリで。……どうやら、僕はあの歌に魅せられたようだ。すごく気に入ってしまった。

「さっきの……あの歌を?」
「はい。……ダメ、ですか?」
「いや。構わない。あんなので良ければ……」

いいかけて「あぁ」と何か思い浮かんだのか棚をあさり、楽譜を取り出した。そしてペンで音符を書き出していく(これって、まさか)

「ロロが伴奏してくれればいい。単調な曲だからすぐ覚えられる」

予感は的中。さらさらと何も見ずにB4のわら半紙の楽譜を四枚、書き上げて渡された。……確かに兄さんに特訓された曲よりは簡単そうな譜面ではあった。

「わかりました。ところで、これはなんの曲ですか?」
「……」

そこで、ライは目線を泳がせた。あー、とか、うー、とか唸ってる。言い出しにくいようだ(困った顔も可愛いのは、もちろん)

「……それは」
「はい」

頬が赤くなってる。真っ白な肌に薄くバラ色が乗る(この人はどれだけ僕を虜にすれば気が済むんだろ!)
そこで、やっとおもむろに口を開いた。

「…………僕の作曲した、子守歌だ」

驚いた。ライの作曲?思わず楽譜を見つめる。すごい、ライの、作った曲、なんだ。

「ずいぶん昔のだ。恥ずかしいから誰にも言わないでくれ。二人だけの秘密、だ」

僕たち『二人だけの秘密』。あぁなんていい響き。僕は嬉しさのあまり二つ返事で了承した。そして楽譜を再度見つめる。

「……練習、がんばります」

きっと、ライのあの通る声で聴いたら、さぞかしいい夢を見れるんだろうな。(妹さんいるから、たぶん、その子は聴いてるんだろう)……嫉妬しそう。でもこの約束は二人だけの、秘密。

「僕も君に失礼のないような歌にするよ」

あなたの歌声にケチのつけようはないのに、ホントにずいぶん謙遜的だ(ケチつけるようなヤツは聴く耳がないに違いない)。
そこでチャイムが鳴った。「もうこんな時間か」とライはカバンの整理をし始める。僕は楽譜を丁寧にファイルへしまった。

「行こう。これ以上待たせるとミレイさんにペナルティで仕事増やされるかもしれない」

それは確かに嫌だ(でもライとの居残りなら全然いいけどね、なんて言えるわけもなく)音楽室を出た。
僕は彼のすぐ斜め後ろに控える。そのまま生徒会室へ。もうすぐ二人きりじゃなくなっちゃう、と少ししぼんでいると目的地に到着の手前、彼が視線を向け笑って言った。

「二週間後が楽しみだな」

「……はいっ」

僕もとっても楽しみ。





(兄さんにも言わずに猛練習)(だって約束は二人だけの秘密、だもん)
……暴力なしっ!!←
ロロかなり盲目。懐けばベタ惚れ。ルルとの関係見てるとそう思えてならないのです。
ライも皇族なのである程度、音楽系列はできるに違いないと予想。ギアスが聴覚媒介なので、声が通る、上手い、という設定(こじつけ)。
(DVD特典?で)ロロがルルと連弾やってる写真を見て、一緒に妄想。


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R2六話後。ロロ→ルル前提、ロロライ。
ナチュラルにライが学園にいる。報われてない。







「(あぁ、まさか不覚だった……)」

こんな真夜中まで毛布を干したまま忘れるとは……明日また干さないとか……
スザクの復学祝いにかこつけるわけじゃないが主役本人捜してこいとミレイさんに会長命令くだるし、忙しい日だったな……――

ドン――!

「っ!?」

手前の角から突然現れた人物はそのままの勢いで体当たりしてきた。抱えていた毛布のおかげもあってか痛みは皆無。
僕は弾みで少しよたっただけですんだが、相手は反動で尻餅をついている。

「す、すまないっ……ロ、ロロ?」

ミルクティのような淡い髪色。僕の着ていものと同じ制服。普段の彼なら(兄がいない前提で)すぐに何かしら嫌みを言い出すのに、今は座り込んだまま。顔も伏せている。

「ロロ、どうし――」
「愛してる、って言ってください」

伏したままで突如、力ある声。しかし彼の手は震えていた。その指先でケータイを握りしめている。ハートのロケットも小刻みに揺れる。
まだ彼は下を向いたままであるが、僕はしゃがんでロロと視線を合わすようにする。

「…………」
「愛してる、って言ってください。愛してる、って!」

腕を掴まれる。力を込められ少々痛むが、震えているこの手をふりほどくなんてできるはずもなく。

「……愛して、るって……」
「愛してるよ、ロロ」


彼がやっと顔を上げた。泣いてはいないけど、泣きそうに悲痛な歪みがある。

「……君が欲しいその言葉は、僕の言葉ではないんだろ?」
「ッ……――」

彼の陰りが一層強くなった。わかってるよ、でも僕に無い物ねだりしないでくれ。己の無力さに自身を殺したくなる。君の願いは、叶えたいのに。

「……(ルルーシュ、何をしたんだよ)」

友人に舌打ちしたくなったがそれは心のうちにとどめて、彼に毛布を頭からかぶせた。

「――……」
「……」

これで視界は遮った。そのまま抱きかかえる。できるだけ優しく、できるだけ強く。壊さないよう大切に。

「っ……にい、さ、ん……!」

何かが切れたのか、彼は身体を預けてくれた。僕もそれを受け止める。胸の痛みを踏みつけにして。

「(……僕も、泣きたい)」

一途な本当の君の想いが僕に向くことはないんだろうなぁ、とは頭ではわかっていることで。
これ以上、ロロにもルルーシュにも深く干渉してはいけない、ということも。
納得はできないが、理解はしてるつもりだ。いや、区別かもしれない。

「(どちらにしてもこれ以上、自分が傷つかないよう逃げているにすぎないのだけど)」


彼が声を殺して泣く。
僕は無言で君を抱きしめる。
僕の心が、涙で溢れていく。



んでしてき締めて
(彼は僕に捕らわれることはない)(僕はただの『代わり』であるのはわかってる)(それでもいいと、僕が甘えた)
ロロ→ルル前提、ロロライと言っておく。いや、どう見たってライ→ロロ→ルルですね。はい。


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ギアス篇C.C.ED後








真っ白な鳥が羽ばたく。ゆったりと羽根が舞った。

「…………」

幻想的な光景。目を奪われる。白は光を帯びて光沢をもち、それは銀色に煌めく。その眼が紅いことだけは悲しかった。

「紅になど染まってほしくないさ、あの青は」


広大で深い色味の紺。その瞳の彼へ、届きはしないだろう便りを寄せてもう一年は経つ。

「……便りは届いたか?だとしたら、ちゃんと返事ぐらいよこせ」

羽根が舞い落ちていく。この光景も無へ帰る。鳥はどこか遠くへ羽ばたいていってしまった。もう会い見えることはないだろう。

――あぁ、飼い慣らしてしまえばよかった。

――捕らえ、鳥かごから出ることなど許さねばよかった。

それは過去に大切な鳥<彼>を逃がしてしまったことへの後悔か。
C.C.は羽根に手を伸ばし掴もうとするも、それらは彼女の手をいとも簡単にすり抜けていく。あの鳥<彼>のように。

視線を再び戻すと、その向こう、人がいた。

「――……」
「届いたさ、C.C.」


眠ったはずの、白銀の王。
紅になど侵されてない、紺碧の双眼。


「……まだ、優しい世界などではないぞ?」

涙がこぼれそうだとC.C.は感じた。しかし瞳に涙など縁取ってなく、ただただ熱くなるだけだった。
こんな時にさえ、素直に喜びを表現できない自分を恨む。

彼は近づき、頬を流れてもいない涙を拭うかのように優しく手で触れた。

「優しい世界は、待っていても手に入らない。創ってこそ、そこに愛着がわくものだと思う。そこで『生きたい』と願うのだと思う」

彼の絶対なる言ノ葉を秘めた懐かしき声は謳う。それはC.C.を従わすことなどできないが、彼女もその言ノ葉に魅せられる。彼、ライだからこその言葉。

「C.C.が願ってくれた優しい世界で、生きたくなった」
「傲慢、だな。勝手に居眠りしておいて……今更」

そう皮肉をいうにも、彼女の表情には余裕などなく。彼は申し訳なさそうに笑う。

「共に、歩んでもいいだろうか?」
「魔女の通る道は過酷だぞ?それに、私はもうお前を逃がさないだろう。魔女は強情だ。二度は易々とモノを手放したりしない。それでも……」
「行くさ、君との道を」

彼女の前髪にキスを落とし、そのままの距離で瞳を見つめる。誓いである真実を刻むように。

「僕が傲慢で君は強情、それぐらいがちょうどいい。なんなら、僕は魔女の使い魔あたりにでもなろうか?」

紺の瞳に不思議な力、白銀の毛並みを持つ、皇が化けた使い魔の猫。
それを想像したC.C.は異色の私にはピッタリかもしれない、と微かに笑ってみた。

そして彼の唇へキス。
少し驚くライに、いつもの余裕溢れた笑みを返す。

「お前に私の猫は務まらんさ」


お前は魔女の恋人なのだから。





だったりだったり。
(『自由』なお前には、どちらも似合うよ)(しかし、もう魔女からは『自由』になれない。覚悟しろ?)
ライC.C.。ライの相手(NL)で一番好きかもしれない。ギアス篇C.C.EDが今現在見たなかで一番好きってのがあるんでしょう。


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女装男装ネタ。ギャグ。
いちおうCP要素もあって甘い。
C.C.が我が道を生き、そして変態(?)。


男女逆転祭り。

今年も開催されたこのイベントを(とりあえず)初めて目の当たりにし、実感するであろう生徒は一人、クラブハウスの中にいた。

「………男に合う作りの女子の制服って……」

ライは今、アッシュフォード学園の女子制服に身を包んでいた。
昨日『明日は制服を逆転してでの授業!』会長命令が下され、この制服を渡された。
嫌がってみたものの、今日はこの制服で学園へいかなければ『恐ろしい罰』が科せられるという。
ルルーシュが顔を青白くして震えながら語っていたので、ライは反論も反発もやめた。

最後に髪と同じ色のセミロングウィッグをかぶり、整えて終了。確認し終えると鏡のなかの自分が居たたまれなくなり、すぐその場を離れた。

「……まぁ、皆が同じようになってるなら……どうにか……」
「どうした?遅刻するぞ」
「うわぁ゛っ?!」

自分の羞恥を押さえつけ、言い聞かすようしているなか。後ろから胸あたりに腕が伸ばされ、掴まれるように抱きかかえらる。パッドなので感覚はないが心臓が飛び跳ねた。

「ずいぶん本物に近い心地の詰め物だな。しかしその色気のない声はいただけない……女がそんな野太く叫ぶな」
「ぼ、僕は男だっ……それよりC.C.!突然……」


振り払い、黄緑色の髪の少女を見据えた。
アッシュフォードの男子制服を纏い、厚底をはいているのか少々背も高い。黒縁のメガネもかけているのは顔を少しでも隠すためなのかはさておき、見事に男装を遂げていた。
今は男装制服を所持していたことに驚くところだが、ライはそれ以上の驚愕の現実に、目を見開いた。

「ふふん。カノジョとの登校に、カレシが家の前で待つというのは基本だろう。クラブハウスの玄関先にいてもよかったが、目立つからな。直々に部屋まで……ってなんだ」

ライは言葉を失ったまま、彼女に手を伸ばし髪に触れた。さらさらと揺れる柔らかい髪質。それは変わらないのに、異常なほど様変わりしてしまっている。
何故かとは、彼女の腰よりあった長く美しい髪が、襟元にかかる程度まで短くなっているということだ。
ライは本物と変わりない手触りの髪を確認すると険しい顔つきでC.C.を見合った。

「……これは、地毛……か?」
「あぁ、そうだ。今朝のうちに切りそろえた」


あんぐり口を開けたまま漫画によくある落雷にあったかのような衝撃リアクションをとり、石化するライ。

「私は魔女だ。今日一日もすれば髪は同じ長さになるからな」

ふっ、と自信満々に笑うC.C.にライはリアクションを止めて(むしろずっこけるように)脱力。

「よ、よかった……」
「何がだ。……お前には女は髪が長ければいけないという偏見があるのか」

むすっとした表情の彼女に「まさか」とライは困り顔で笑いかけた。

「もったいないと思っただけだ。あんなに素敵な髪を切ってしまうなんて。もちろんショートのC.C.も似合ってるよ」
「……男らしいだろう。お前も似合ってるぞ。女そのものだ」

仕返し、と言わんはがりの笑顔と言葉に、ライは撃沈した。



「……で、なんで登校するんだ」
「お前はアッシュフォードに拾われた、居候兼学生だからだ」
「違う。なんでC.C.まで学園へ行くんだ、と聞いている」

クラブハウスを出て校舎へ向かうなか。恋人繋ぎで堂々と闊歩するC.C.。ライは引っ張られるようにそれに続く。

「お前は学園の正式な生徒ではないなら授業に出なくてもいいのだろう?暇だからデートだ」
「勝手だな」
「そうさ。私はC.C.だからな」

ふぅ、とため息のライ。この少女の勝手さは今更感じたことではない。しかし考えてみれだ、ここ最近二人で出かけた覚えがない。いい機会かもしれない、とも思った。

「……いやいや、この格好で街中など出たくない。絶対に」

頭を横にぶんぶん振り、気持ちを立て直す。

「今は女装していてどう考えても変人でしかないだろう!こんな姿で街へ出れば通報される可能性も……」
「ないな。どう見てもアッシュフォード学園の女子生徒だ」

その言葉に唸りながら肩を落とす。カノジョに『女みたい』と言われて何が嬉しいものか。

「心配するな、学園内で教師の目を盗みながらのイチャイチャラブラブするデートコースだ。なかなかスリルもあって燃えるだろ」
「いやいや、そんな興奮はいらない……って、此処は!?」

相手のペースにのまれていたせいか、今の状況を把握するのが遅れたライ。
一般の生徒がちやほらと見受けられ始めた。この姿であるので裏口から校舎へ入る手筈でいたのだが、C.C.により正面玄関前あたりに連れてこられたようだ。

「C.C.!君が目立つだろう!!」
「何、男装をしメガネもかけ髪もこの通り。それに私はC.C.だ。見くびるなよ」
「その自信はどこから生まれてるんだ……!」

わけのわからない言い分にライは頭を抱えたくなる。

「いいか、今日は男女逆転祭りだ。私……いや、俺としておこう。俺は男で、お前は女。言葉使いも統一しろ。さもないと……」
「何故、僕がそんなことまでしなくてはならな――!」

言いかけるも言葉がそこで終わる。周りで「キャーっ」とか「おぉっ」とか声が聞こえてはいたが、ライには届いておらず。

彼の視線を釘付けにするのは急激に近づいたC.C.の顔。長い睫、大きな瞳。唇が触れ……舌が――。

「ふっ……ん……!」

片手はへ、もう片方は後頭部をきっちりと固定され逃げられない。すぐに解放されるも、それは短くも深いキスだった。

「っ――!!」
「『さもないと所構わずキスするぞ』……人の話は最後まで聞け。まぁ『僕女』というのもいいが、今のお前の外見を見れば一人称は『私』が妥当だろ」

悪びれもせず、イタズラが成功して喜ぶように魔女は笑った。
ライは顔を苺のように赤くしてC.C.を睨むも周囲の声がやっと聞こえ始めたのか、さらに耳まで真っ赤にして震えだした。

今度は立場を逆転してライが手を引き、もと来た道を走り出す。手はしっかりと握ったまま。

「バカがっ……!」


そのか細い声に、C.C.は満足そうに笑ったまま、引かれるままに走る。





(なんだ、クラブハウスまで戻って。キスの続きをするのか?)(ッ!?)


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「ラーイー……!」
「な、なんですか。ミレイさん」
「貴方、私に昨日挨拶もしないで……こんなことしてたんですって!?」

ピシッ(目の前に報道部が発行している新聞)

「……ッ!!」
「私もライの女装写真、ルルちゃんと並べて撮りたかったぁ!」
「やめてくださいよ。何嘆いてるんですか、会長……なんだ、この一面……『男女逆転祭りにて、幻の美形カップル現る!?公衆の面前でのキス、激写!』……女子のは……いや男子になってる方は……」
「(C.C.だとバレる?!)ル、ルルーシュ、これには深い訳が……!」
「見たことない生徒だな、誰だコイツは?」
「(え゛えぇー?!)」
「さぁ、ラーイー!その『深い訳』ってのを素直に白状するのと女装してカメラに納まるの、どっちがいい〜?」にやにやわきわき
「いや、その……(C.C.だなんて喋れるわけないじゃないかッ!)」



(ルルーシュにも、本当にバレなかった……何故だ!?)(私がC.C.だからだと何度も言っているだろう)(……)
私はしつ様をなんだと思ってるんだろう←。
『私は〜――』と俺様に豪語するしつ様と某サイト様で見た短髪♂しつ様に惚れて書き上げたブツ←


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凍えながら、彼女は雨に耐えた。

「……」

しとしとと雨粒が彼女に降り注ぐ。
中等部の制服は濡れたことによりピンクが色濃く浮かんでいる。
前髪は額に、後ろ髪は水を含み襟足や顔に張り付き不快に感じながらも彼女、ナナリーは動くことが出来なかった。

「……誰か……」

雨はナナリーの体温を確実に奪い去っていく。奥歯がカチカチと鳴り始めていた。指先の腫れ上がるような痛みのあとから、感覚がない。
顔に伝う水滴を拭うも次々に流れてきりがない。息を吹きかけながら呟く。

「こんな所で……車椅子が動かなくなってしまうなんて」

中等部校舎から級友に車椅子を押してもらい帰ろうと途中まで来たが、親からの呼び出しで急遽帰らなければいけなくなったと級友は話し、何度も謝りながら帰っていった。
何度も行き来した場所なので感覚的にも道の覚えがあり、心配ないと車椅子を動かし始めた矢先。
車椅子は動かなくなってしまった。

石にはまってしまったのか、それとも故障なのかは目の見えないナナリーには確かめようがなく。
それに加えて雨のにおいを感じ取り、焦りながらもカバンの中からケータイを取り出す。
今日は出かけてしまっている咲世子に、兄であるルルーシュは今日は遅くなる、ということを思い出す前に。
同じクラブハウスに住まい、よく会いに訪れてくれる、優しい人。

「ライさん……」

彼に助けを求めることに。
コール音が一回、二回、……と続くうちにやはり予想通り雨がぽつりぽつりと降り出した。頭上を見上げても何も見えはしないのだか天を仰いだ。そして気の緩みと焦りか。
頼みの綱であるケータイが、手から滑り落ちた。

「(迂闊でした……)」

落ちた場所も分からないため、拾うことはできない。目が見えず、足の動かないナナリーにはどうしようもない状態になってしまっていた。

夕方のせいか校舎近くに人通りはまったくない。大きな声で周りに呼びかけるも、激しい雨の音にかき消されてしまって誰にも届いていないようだった。

「……ライさん」


すがるような気持ちで彼の名前を呼ぶ。彼なら、ライならきっと見つけてくれると信じながら祈った。

「!」

そこで雨が地を打つ音以外に、遠くに足音をナナリーは捉えた。




そして、喉の痛みに耐えながら叫ぶ。

「ライさんっ」

誰の足音か、まだ遠すぎるので分からないのだがナナリーは彼だと直感した。

「ライさんっ、ライさん!」

「………!!」


声。相手も何か叫んでいる。耳をすませながらも、必死に叫んだ。

「ライ、さんッ」



足音が近づき、安堵した。それがライのものであるとすぐにわかった。
急いでいる。急に止まったり、走ったりを繰り返しながら。


「ナナリー……ッ!」


そして、ライも姿を捉えたのか、一目散に彼は駆け寄る。ナナリーのもとへ。
そして腕を伸ばし両頬に触れた。無事を確かめるように。指先が随分冷たい、とナナリーは感じ、彼はずっと雨の中を探してくれていたことを悟った。

「無事か……っ?怪我はっ?」
「だいじょう、ぶです……」

ナナリーも寒さに舌が回らなくなってきたのか。しかしそれでも歯が鳴るのを押さえながら喋る。
彼も取りあえず安心したのか、ゆっくり大きく息を吐いて呼吸を整えようとする。

「すまない、遅くなってしまって……」

ライが素早く後ろに回り車椅子を押してみるも、車輪にロックがかかってしまったのか動かなかった

「……故障……か」

ライはそれなら、と彼女の横につくと、抱き上げた。

「きゃ……!」
「あ、すまない、一度断りを入れるべきだった……!」

突然の浮遊感に反射して手をライに伸ばしてバランスを取る。
身体が密着していてライの大きい手の熱が背中と膝裏に。俗に言うお姫様だっことナナリーは認識して頬を赤らめた。

「いえ、……ちょっとビックリしただけです」
「すまない、あとで車椅子は回収する。今は部屋に戻ろう」

本当にすまない、と念入りに謝る彼に微笑を返す。
なんとなく想像するに作りのいい(と話しにきく)彼は、困ったように眉を下げているに違いないと思い、少し笑ってしまったというのがあった。
ライも笑ったふうを感じると、少し前かがみ気味に小走りで動き出す。
彼の制服も濡れていた。じっとりと湿っていても不思議と不快感がない。冷たいのは指先だけで、身体は暖かく感じてた。

「(暖かい……)」

ナナリーは首にかけた腕の力を強めた。冷たい自分の体温が、彼に移ってしまうのではないか、と心配しながら暖かさと彼の優しさをかみしめる。




(車椅子が壊れて、こうなって)(少し嬉しい……だなんて、不謹慎なことを思いました)


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