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建前本音
 ...ルル←ロロ?
新たなる一面を発見。
  ...ルルロロ
君の朝は、もう来ない。
  ...ルルロロ 追悼
Dreamily.
  ...アニャ→ロロ
夢の中でも
  ...ルルロロ
ミステリアス
 ...アニャ→ロロ
君もただの女の子。
 ...アニャ→ロロ
HAPPIENSS
 ...アニャ→ロロ












ロロ独白?(セリフのみ)



「兄さん」
「なんだ? ロロ」


僕は知っています。
貴方が偽ってることを。


「僕は……ここにいてもいいんだよね?」
「当たり前だろ。心配性だな、ロロは」


妹の居場所を奪った僕を許さないでしょう。絶対に。


「……僕は」


貴方は必要としていない。


「僕は……」


いつか、貴方に捨てられる。


「僕、は」


貴方の、邪魔。


「兄さんが」


それでも僕は


「兄さん…が」


そんな貴方を


「大好き、です」
「俺もだよ。ロロ」





こんなにも、愛してしまった。




(だから、これ以上嫌われないためにも)(従順で)(盲目な)(道化を、続けよう)
ロロは知っててブラコンしてる……みたいな?←。
健気で献身的。ヤンデレしたって愛せる。むしろ好物←←
本当に愛してるからこその自己犠牲。


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ルル独白?(セリフのみ)



「兄さん」
「なんだ? ロロ」


気安く呼ぶな。
偽りの弟のくせに。


「僕は……ここにいてもいいんだよね?」
「当たり前だろ。心配性だな、ロロは」


ナナリーの居場所は取り戻す。絶対に。


「……僕は」


お前はいらない。


「僕は……」


お前なんて、捨ててやる。


「僕、は」


お前は邪魔なんだよ。


「兄さんが」


俺は


「兄さん…が」


お前が


「大好き、です」
「俺もだよ。ロロ」




虫酸が走るほど、大嫌いだ。




(だが、今はまだ優しい兄を)(演じるんだ)(偽るんだ)(これは、偽者……なんだ)
ルル、腹の内。本音というより自分に言い聞かせてる感じ。気づきたくない、でも本当はわかってる。愛憎。それもまた、愛ではないかなと。
何でも手元においとけば愛着わきますよね。


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「なんて言うかさ……ランペルージって愛想ないよなぁ」

クラス内にてある男子がポツリと言った一言。

「引っ込み思案っていってあげなさいよ……」
「時々、凄い目つきで睨んでくる時とかあんじゃん。マジあれ怖ぇぜ」
「わかるわかる、なんかすげぇもん。殺気漲るっての?」
「ほんとぉー?」
「でもちょっと変わった子ってのは確かだよね」

ひそひそと男女四人は話題にするクラスメート、ロロの席が離れているのをいいことに噂し出す。
彼は前から二列目の窓側。彼らは教室奥の窓側なのでまず大きな声でしゃべらなければ聞こえないだろう。
まして本人は、呆けた感じで窓の外を眺めている。

「友達少ないし……」
「少ないってよりいないだろ。他クラスにだって」
「生徒会出入りしてるし、上級生とかに目つけられてそう」
「孤立無援、みたいな」
「でもその生徒会の人たちは、いい人じゃない」
「生徒会の先輩たちも四苦八苦してたりすんじゃねぇかな、あれは」
「お兄さんのランペルージ先輩がいるのよ?どうにかなってるって」
「――……あ、噂をすれば」

女子が指差すほう――校庭に、移動なのかロロの兄であるルルーシュが歩いていた。そこで気づいたロロは、急いで窓を開けて少し身を乗り出す。
そこでルルーシュも気がついた。柔らかく微笑み、気品ある動作で軽く手を振る。

「きゃ。やっぱりルルーシュ先輩カッコいいッ!!」

見ていた女子が黄色い声を上げる。窓際にいる者たちがその声につられるようにざわめく。

「当たり前でしょ!あの先輩だも……の……」

一人、言葉を詰まらせた。話していた一人がその目線を追うと、その先にはロロが頬を薄く染め、満面の笑みでささやかに振かえしている。
まるで恋する少女のように恥じらいながらも愛おしそうに目を細める可愛らしいその姿に、見た者は言葉を飲み、頬を赤らめた。

クラスメートたちは一人、また一人、男女問わずその魅力ある愛らしい姿に釘付けになっていく。


その瞬間を反射的にカメラに納めた報道部の写真が流れたことにより、徐々に派生しはじめていった『ロロ親衛隊』の存在に、彼本人はまったく気がついていない。



(どうした、ロロ)(兄さん……いや最近無駄に視線を感じて……)
SE2により、人気があると確立(?)されたので。思わず。
ロロ親衛隊の掟・基本第一項目は『影から見守ること』(=抜け駆けすんじゃねぇよゴラァ)とあるから、『ラブ アタック』で帽子狙われてなかったのです!!(不服だった。追われないのが)。
たぶん、生徒会のなかでの写真はリヴァルが小遣い稼ぎに流しているに違いない。


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ルル独白。






こんな時ばかりギアスをかけれなかった自分。

どうにかできたはずだ。

『俺を独りにしないでくれ』
……そう泣きつけば、どうにかギアスを阻止できたかもしれない。


「……違うだろ……」


違うんだ、ロロはそれを望まなかったはずだ。


ロロは、自分を犠牲にしてまで俺を生かしてくれたんだ。

ロロは、俺の弟は、どんな言葉を望んだはずだ?

俺が、本当にかけたかった言葉はもっと、――……。


「……『愛してる』」


そうだ、愛してる。


愛してる、ロロ。
俺の弟。ルルーシュ・ランペルージの唯一無二の弟。


「愛してる、……ロロ」


しかし何故だろう。ナナリーへの愛は確かに本物なのに。

この想いは、ナナリーへ注ぐものとは、また違う気がする。

「……馬鹿だな。気づいてたクセに。今更、認めても……もう遅い」


しかし、愛してる。その想いは変わりはしない。


「……愛してる、愛しているよ……ロロ」


生きているうちに、言ってやるんだった。

この想いのうちを伝えればよかった。

後悔しても、進まなければ。


「今は……泣きはしない」


お前の拓いてくれたこの道を、進むべき道を、涙で曇らせはしない。絶対に。


「おやすみ、ロロ」





(それでも君の残してくれた光を頼りに進もう)(ありがとう、君をこの想いと共に忘れない。愛してる)


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十九話より。Notマリアンヌ。









モルドレッド内にて待機中。アーニャは端末の画像を見つめていた。

「……」

そのなかで次々と写し出されていくミルクティ色の髪を持った少年。

「……ロロ・ランペルージ」

高等部の生徒会員。副会長、ルルーシュ・ランペルージの弟。

最初は兄に興味を持って学園に入学してみた、が。今となっては半ばどうでもよくなっていて。
しかし何故弟が気になりだしたかも、よくわかっていない。


書類の計算中に居眠りをしている彼。

生徒会室の窓から空を見つめる彼。

端末を向けられ、困った顔をする彼。


これらを記録をしているとき、妙に嬉しかった。
些細なことでも記録を残すと、心のうちに温かいモノが満たされた。そんな感覚。
だから理由など追求せずとも、それだけでよかったのだった。


最後に写し出された、兄へ幸せそうに笑いかけている、彼。


そこで、少しだけ胸が痛みを覚えた。


「……笑って、ほしい」


ぽつり、と呟く。
何枚もあっても、本当は自分に笑顔を向けた写真が一番撮りたい。
笑いかけてくれたことを、記録したい。

しかしあまり人との接し方がうまくないアーニャ。彼もどこか人を避けているところが見受けられ、距離は縮まないまま。

「……」


この任務が終わったら、生徒会に顔を出すだけでも、アッシュフォードに行こう。
そして彼と会って、また写真を撮ろう。
同僚のジノは、スキンシップをとったほうが仲良くなれる、と言っていた。……少しだけでも、頑張ってみよう。

そうアーニャは思い巡らせ、頬を微かに緩めた。


ピピッ――


「……?」


突然の通信。ゼロの乗った蜃気楼が逃げ出したという。
斑鳩から抜け出したことに気づかなかったことを疑問、そして不快に思うもすぐに待機状態を解除。あとを追う。

捕縛せよ、との命令。



「……破壊なら……」



あぁ、早く終わらせよう。
彼に会いたいな。はやく、はやく。

彼に、私を、見てほしい。

いつか、仲良くなって。
笑いかけて、ほしい……――――。




Dreamily.
(そして何も知らず)(蜃気楼へと照準を合わせた)


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先ほど生徒会室に来てからこちらの様子を伺っている素振りを見せるルルーシュにロロは気がつく。

「…どうかしたの、兄さん?」

「え…あぁ、…」

そう歯切れ悪く言葉を濁すと、腕を伸ばしロロの頬を撫でた。優しい手つきのそれにドキリとロロの心臓が跳ねる。

「…やっぱり」
「え、な、何?」
「ロロ、お前熱があるな」

そう言うと当たり前がごとくスムーズな動きで額を付けてきた。熱を計っているだけなのだが、鼻先が触れそうな顔との距離に、ロロは一気に熱くなる。

「ね、熱なんて…大丈夫だよ、ツラくないし」
「馬鹿。ツラくなってからじゃ遅いだろ」

唯一いたリヴァルに仕事の休みを伝え、手を引いて生徒会室を後にしてクラブハウスの自室へ。

「熱計って寝てろ」
「…はい」

ルルーシュはそう言い残し、部屋を出ていった。
制服から寝間着に着替え、言われたように体温計を腋に差し込む。
そう、ただ座っていると少しだけいつもより身体がダルいと思った。しかし気にするようなものでもないとも感じる。

「…熱なんて…大丈夫なのに」

育った環境下、そんなものが気にされる所ではなかった。
だからこそ心配されたことが、どこかくすぐったく感じるロロ。
電子体温計が鳴ったので確認してみる。38.2、確かに熱が高い。自分でも気づかなかったのにとロロは手を額にあてて確かめてみる。
そこでドアが開き、私服に着替えたルルーシュが立っていた。

「お待たせ。いくつだ」
「…38.2」
「…高いな…」

持ってきた氷枕に敷いて、布団を直してくれた。
そして指先で頬を撫でられ。ドキドキと胸が踊る

「ツラくはないか?」
「……うん」
「喉は?咳とかくしゃみとかは…」
「うん、大丈夫…ちょっと寒い、ぐらい」
「なら添い寝しよう」
「うん…え゛ぇっ!?」

流れのままに肯定してしまったが、思わない言葉に驚きの声を上げる。
ルルーシュはそれにさえ構わずそのままベッドのなかに入ってきた。当然ながら狼狽えるロロ。

「に、兄さん! うつるよ…!」
「いいさ。そうなったら次はロロが看病してくれ」

そう言って抱き寄せられる。ルルーシュの心音と温もりが伝わってきて、頭の中がクラクラしていった。

「おやすみ、ロロ」

髪にキスを落とされて、一層顔が熱くなる。それを隠すように彼の胸に顔をうずめた。ルルーシュの匂いでいっぱいで目眩がしてくる。

「(寝れる、かな)」

でも、こんな甘く幸せな状況だったら、いい夢が見れそうな気がして。
彼はゆっくりと瞼を閉じた。




夢の中
(兄さんに抱きしめられてたらいいな)


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……なんなんだろ、この状況は。

「……」
「……」

今何故か高等部の食堂にて、かのナイトオブシックスが僕の横の席に座っている。

中等部の――しかも女子のピンク色の制服は群を抜いて此処では目立つし、何にせよ彼女は皇帝直属の騎士。
そのせいもあってか、周りも興味にあふれた視線を送ってくる(が、無闇に話しかけてもこない)。

最初は向かい側に座っていた兄さんが目当てかと思い――先ほど手早く避難してもらった……が、目でその姿を追うのみだけで、微動だにしなかった。
そうなれば何が目的なんて見当がつかない。

「……」
「……」

軽い挨拶以後、会話はまったくない。僕はこの人がかなり苦手だ。トラウマになって寝込んだんだぞ、この人のせいで。どうやったら逃げれるだろうか。

「……ねぇ」
「っは、はい?!」

声が裏がえった。た、たぶん、僕に話しかけたんだよな?じゃなかったら恥だ。

「……メアド」

そう言って彼女は食事を中断して端末を取り出した。
…メールアドレス?が、どうしたんだ?

「……赤外線」

………………え?あ、つまり、……教えろってこと?
……何のために!?

「……あ、あの。ラウンズ様がなんで僕のアドレスなんかを……?」
「連絡するため」


普通そうなんだけどねっ!
真面目な顔(っても無表情だけど)で言うからおちょくっているようには見えない。
でも何を連絡することがあるんだ!?とりあえず一般人(ということになってる)の僕と、貴族出の軍人が。
なんだか頭がパニックに……!


「……だめ?」


うっ、と言葉がつまった。思考一時停止を余儀なくなせる。
彼女が小さく首を傾げる様はまさに小動物的な――それでいて年齢層等の動きというか表情に見えてしまい、拒否するのが苦になる。
色々と耳をそばだてている周りの空気も、些か悪く視線が痛い。

「……わ、わかりました……」

目的が本当に知りたいが、今の所は折れることにして――警戒しながらもケータイを向けあってアドレスを交換しあった。

「……好きな曲、ある?」

何、そのたわいもないふりは…!?言葉の意図はなんだ…っ?
人との付き合いに慣れてない僕の頭はそんな対処にすらすぐに回ってくれない。

「……と、とくにありません」
「そう……」


何が正解だったかはわからないが、この人の機嫌は損ねてないようなので、とりあえず安心の息をつく。本人といえばそのままケータイに何か手早く打ち込んでいるように見える。
……僕、もう席を離れてもいいかな……胃が痛くて食事どころじゃない。

「……専用の着うた、おとした」
「?」

専用の、着うた?……僕用に設定したの、つまり?
トレイを持って立ち上がるナイトオブシックス。状況把握の間に合あわず呆然としている僕を見つめて、そのままの無表情に続ける。

「鳴るの、楽しみにしてるから」


そう告げると、そのままゆっくり去っていった。
周囲は少しざわめくも、もう本人もいなくなり興味を失い始めたのか流れるように話題は変わっていっているようだった。
周りにも彼女にも取り残された僕は、先ほどのセリフを反芻させていく。

『鳴るの、楽しみにしてる』、…楽しみ、…鳴るの、専用の着うた、鳴る、楽しみ……



「つまり、……僕からメールをしろと?」




遅いながら一人、僕が唸り声を上げながら頭を抱え悩んでしまったのは、言うまでもないだろう。


本当に不可解な人だ、アーニャ・アールストレイム。



ミステリアス
(で、本当になんのための接触だったんだ?)


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……なんなんだろ、この状況は。……あれ、このくだりは前もした?


まぁ、そんなことはどうでもよくて。今学園中庭の木陰にてランチョンマットが敷かれ、僕とナイトオブシックスが腰を降ろしている。

前に食堂の件があって以来、度々メールが来ていた。しかもたわいもないモノばかり(美味しかった料理とか任務で出かけた先々の光景とか)で返信にはかなり苦労した。

疑問は多々ある。何故メアド交換なんてしたか。ただたんにメールがしたかっただけだろうか?では何故、僕なのか。……よくケータイ(正確にはストラップをだが)見てるから?
しかしこの人の真意を探すのは無理だとここ数日で理解した。
ミレイ・アッシュフォード会長も『女の心は海より深く空より広大よ!』と豪語してるし、と無理やり納得している。



それに、昨日来たメールの内容がこれだ。


差出人:アーニャ・アールストレイム
用件:明日 お弁当
本文:作ってきて、交換。


返信もだいたい二、三行で留めてくる。
ここまで短文だと内容に迷うのだけど、本人も長い文を期待してるようではなくて、僕が短い文を送っても返信してくれる(それに気がつくまでが長かった……)。

「はい」

渡されたのは当たり前だがお弁当。僕も小ぶり(相手が相手なのを配慮した)のお弁当を手渡した。

「いただきます」
「……いただきます」


合掌後、開封。
彼女は二、三秒僕の渡したお弁当を凝視する。そのなかで春巻き(もちろん手作り)が選ばれた。

「……!?」


衝撃を受けた表情……って、暗くなった。今、雰囲気があからさまに暗くなったよ。

「……美味しい」

美味しいのに落ち込まないでほしいな。何かレシピ間違えたかと思ったじゃないか。


相手を観察するのはここまでにして、僕もお弁当を開けた。……ふむ。貴族様だから料理なんてできるのかと心配したが……まぁ、普通だ。
ちょっと焦げてる玉子焼きやら形の悪いタコさんウインナー……いや、これはこだわんなくていいと思うな。
まぁ、とりあえず、具は結構ある。あとはおにぎり(枢木卿が教えたのか?)が転がっていきそうなほどまん丸だったりするぐらいで、見た目に問題はない。


肝心なのは味。一口含む。咀嚼。……うん、普通。

「…………」

気力は回復したのか、無表情だが期待のこもった目で見つめてくる――なにか様子を伺っているのか。
この状況での正しい答え、これは僕にだってわかる。

「美味しいです」
「……そう」

社交辞令での言葉であったけど彼女が、笑った。目に見えて笑った。初めて見る笑顔。相手はお弁当を一度置いて写真を撮りはじめた。

「……笑った顔」
「?」

それは僕がもらした一言。それは何気ない、何も考えずに思ったただの本心だった。

「可愛いですね」
「………………!?」


けして普段が不細工とかそんなんじゃないですよ、とフォローを入れようと思ったが。

……頭から煙を吹き出しそうなほど彼女が顔を真っ赤にし、手からケータイを滑り落としたのを見たら言葉が出なかった。

でも続いて自身も予想打にしないことを僕は無意識におこなってしまった。



素早くケータイをとりだして、パシャ。



「……!!」
「え、……あ、……」


ビックリした。一番は彼女がビックリしてるのだろうけど。いつもより大きく目を見開いて彼女は固まっているし。
本当考えなしにやったことで僕自身が困った。
このままギクシャクというか、変な空気にしておくのもはばかって、とりあえず。


「……『記録』?」



彼女がよく撮る際にいうセリフを真似てみた(語尾が疑問符になってしまったけど)



更に赤みが増して茹でダコのようになった彼女は、その見た目どおりの殴り方をしてきたのは、ちょっとした今日の意外な出来事。




君もただの女の子。
(この日から彼女の着信画像はコレに決定)


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……なんなんだろ、この状況……いや、ただスーツを着てだけ。それだけなんだけど、さ。

鏡の前でネクタイが結べたことを確認して、思った。伊達メガネもしてみる。

……似合うかな……?
まぁ、とりあえず何処かに侵入する時にある程度の変装をするってだけのものだし、似合う似合わないもないけど……ちょっと、スーツに着せられてる感が、ないかな?

「…………」

ふと、心配になってケータイを取り出す。少し腕を上げて鏡に映る自分の姿を撮り、メールを立ち上げた。


「……」


宛先:アーニャ・アールストレイム
用件:(notitl)
添付:(29KB)*******.jpg
内容:似合う?



《送信》



「…………あ」



変装姿を漏洩させてどうするんだ、自分。しかも相手はブリタニアの軍人。ナイトオブラウンズの一人に。


自己嫌悪に頭ふって身悶える。バカだ、自分!これで何か支障が出たりしたら……!兄さんの足を引っ張るじゃないか!!

「(でも……初めて僕からメールした、な)」


冷静な考えに到達するなり、そんなことを思った。
食堂の一件にて『メールしろ』と言われても、メールできず――というか迷ってるうちに彼女からメールが来てしまって。
それからは踏ん切りが付かず、彼女からのメールを待つのが習慣になっていった。


「……『待つ』って……それじゃあ、僕が楽しみにしてるみたいじゃないか」


そうぼやきながらも、画面を見てみる。


任務以外のことで登録した、初めてのアドレス。それが彼女の。
トラウマを作り出してくれた苦手で変な人。
でもいつしか可愛い人だと再認識された。
関わることで少しづつ相手が見えてきて。その感覚は今までに味わったことのないものとなった。

「僕らの関係ってメル友かな」

後輩先輩って間柄ではあるが、そんな感じではないし。友達、という言葉に心なしか胸が躍った。
そう思い耽っていると突然、画面に彼女が。


「!……め、メールか」

自分で設定しておいてなんだが、ビックリした。……真っ赤になった顔が可愛いのだけど、なんだか心臓に悪い……。

メールを開く。


差出人:アーニャ・アールストレイム
用件:似合わない。
内容:背伸びしてる感がある。


「……はっきり言うな……」


自分でも思ったが、他者に言われるとかなりヘコむ。初(僕からの)メールの返信にも容赦がない。……と、また新着メール。問い合わせ。

「?」

また彼女からであり、すぐに開く。


宛先:アーニャ・アールストレイム
用件:さっきの嘘。
内容:似合ってる。可愛い。今度、撮らせて。


「っ……」



思わない彼女の返答。そして彼女なりの気遣いに、少し嬉しくも顔全体が無性に熱い。

「……可愛い、ってなんだよ。可愛いって……」

この前の仕返しか、と愚痴ってみるも頬がだらしなく下がっていくのがわかる。
いつもならどうにか頭振ってでも落ち着こうとするところだけど…今はそれを正そうとはせずにメールの返信を考え始めた。


胸がほんのり温かいのが『幸せな気分だから』とは、まだ僕には気づけない。




HAPPIENSS
(君の返答には不満だらけなのに、へンなの!)


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