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戻れない、あの頃。
 ...ハセヲ&志乃&タビー&匂坂
※木陰で3人、寝ることにしました。
 ...クビア&アウラ&カイト
認めねぇよ!*リアル捏造
 ...シラバス&ハセヲ
都会の中心でなに愛を叫んでんだか。*リアル捏造
 ...ブラックローズ&カズ
そして、あたしは。夢を見た。
 ...ハセヲ&カール



















「このメンバーで冒険って久しぶりだね!」
「おーいタビー、あんまずんずん進むなよ危ねぇぞ」
「あ、あっちに宝箱発見〜!」
「……って聞いてないな……ここかなり高レベルエリアじゃなねぇか。志乃さんとハセヲもなんか言ってやってくれよ」
「うーん、大丈夫じゃないかな」
「同じく。まぁこのままだと……」
「にゃぁぁあ!!」
「!!」
「……予想通り陣に不用意に近づくよな、タビーだし」
「なに冷静に分析してやがるッ!タビー、逃げろッ!」
「うなぁあああ!!」(パンチひとつで敵一体が吹き飛ばされる
「…………へ?」
「び、ビックリした! いきなり出てこないでよ! もう!」
「お前が陣踏んだんだよ、ったく。残り殲滅するぞ、遅れんな!」
「それじゃあ、がんばろっか。タビー」
「りょーかい!!」

「……お、おいお前ら……」

(匂坂動けないまま戦闘終了)

「……」(匂坂ぐんぐんレベルあがる
「わーい、勝った勝った!」
「はしゃぐな。俺たちのレベルなら当然だろ」
「あ……今のでレベル上限到達」
「えっ、志乃さんカンスト!? おめでとう! スゴいなぁー私とほぼ再開一緒なのにー!」
「お前は死にすぎなんだよ。もう初心者でも中堅でもねぇんだからちょっとは考えて戦闘しろ」
「……うー……」
「でも、タビーも強くなったよ」
「ホント!?」
「こら、調子のんな。志乃は甘やかしすぎ」
「でも、レベルも戦闘テクニックもあがってるのは本当でしょ?」
「そうだよー!それに私は誉められて伸びる子だからいーの!」
「自分で言うなし」

「……」


戻れない、あの頃。
(……今さら昔を懐かしんでることに呆れ、お前らの廃人具合レベルを予期しなかった自分にビックリだ)(……ししょー、声が涙ぐんでるよ?どしたの?)
勾坂マジ哀れ(よくネタにしますが彼のこと大好きですよ←
時系列的には.hack//G.U. Returnet後。
元黄昏の旅団メンバー(GM不在)で冒険したらきっとこうなる、という妄想。
ハセヲとメンバーアドレスを交換するともれなくザ・ワールドに一割しかいないという廃人領域のプレイヤーになれます。


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※木陰で3人、寝ることにしました。


「……なんでこんなところで」
「……文句があるならクビアは帰ってもいいから」
「は? ついてきたのお前なのになんで僕が戻んなきゃいけないんだよ。お前が帰れ、女神なんだからそれらしいことしてろよ」
「……私の勝手でしょ」
「なら僕の勝手でもあるんだ、口挟むな」
「「……」」(睨み合い
「……すぅー……」(寝息
「「……」」
「……カイト、早い……疲れてるのかな」
「……疲れさせてるのお前なんじゃない?」
「! ほぼ毎日、ダンジョンに誘ってるアナタに言われたくない!」
「なんだと!?」
「……すぅー……」
「「……」」
「……もういい寝る」「……もういい寝ます」(ハモる
「「…………ふんっ」」
「……すぅー……」

---カイト、アウラ、クビアで川の字で寝そべって数十分後---

「……(本当に寝ちゃったよ……って、ん? ……んん? なにこの状態すごい近いんですけ、ど、ハァァアッ!? いやいや本当なにがどうしてこうなった落ち着け落ち着け僕! まだこいつが寝てる今のうちに離れてなかったことに、ってぇぇ服つかまれてるしぃッどどどどどどうするよ僕どうしようってあれさっき起きたとき僕こいつに腕回してなかったか、ってそんなの気のせいだよなそうだよ馬鹿じゃないの気の迷い、じゃない気のせいだよ落ち着けっての本当! アアアアッ身じろぐな馬鹿だろこいつも!! いや落ち着け相手は寝てんだ深呼吸だ落ち着いて深呼吸……けして匂い嗅いでるとかそんなじゃない馬鹿馬鹿まじ馬鹿違う違う違う落ち着こうとしてんだ甘い匂いなんて感じちゃいないアアアアアアアアくそぉぉおっこいつの息の根止めたい首筋に寝息がかかるぞわぞわするァァァァそんなこと意識するんじゃなかった墓穴掘ったつーかなんでこいつこんなに無防備なんかなとりあえず女なんだからもうちょっと自覚持てよなんで男ふたりとベッドじゃなくても一緒に寝てんだよカイトとなにもないってわかっててもこれだからふたりっきりにできないんだよ僕の気も知らないですやすや寝てやがってぇぇ!!)」
「……ん……」
「(へ……あ……嘘、今の嘘だから寝てろ、ぐっすり寝てよ今起きんなやめろまだなんの対策も考えてな、い……!)」
「……んん」
「(……まじで、起き、……た……)」
「……」(寝ぼけ眼でクビア凝視
「……」(汗だく
「……」(徐々に見開かれる目
「……」(動けない
「ひゃあん!!」ドゴムッ(黄金の右腕
「あぐっぅ!?」(アゴに命中
「んあ……?」(起きるカイト
「……〜〜〜〜ッ!?」(距離をとり混乱中アウラ
「……〜〜〜〜ッ!!」(痛みに堪えうずくまるクビア
「……ふへ……?」(寝起きで状況の読めないカイト
「く、……クビア、最低……ッ!!」

ブゥァン(転送リングに包まれアウラ逃走

「っはぁああッ!? ちょっ!!」
「……なにしたの、クビア……?」
「まだなにもしてないッ!!」
「………………えー(汗)」
私の中でクビアさんは可愛くも格好いい的なお人のはずがなんででしょういつも書くと弱気か不憫←


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※シラバスは(外見的に)格好いいor可愛いんだよ!という方は見ないでください。シラバスさんの扱いひどいめです。







 俺の恋人は平凡な顔をしている。あまり特徴がある顔ではない。目が大きいわけでも切れ長でもないし、鼻が高いわけでも低すぎるわけでもない。平均的日本人の、俗にいう醤油顔。まぁ笑うと爽やかというか、ちょっとは可愛いかもしれない。
 前置きで言うがノロケるつもりはない。断じてない。毛頭ない。絶対ない。
 ただ最近頭を悩ませてることがある。最初に言ったとおり、俺の恋人は平凡な顔だ。印象にあまり残らない顔だ。犯罪者で似顔絵が貼り出されたら目撃情報がそこらじゅうであがるだろう。しかし本人の情報は極僅。そんな印象に残らないけど漠然と記憶の端に留まってどこにでもいそうと思うヤツ。
 つまり、だ。町中を歩くだけでもそいつに似た人間が数多く存在するのだ。
 目元が似てる、とか、横顔が似てる、とか、笑った目元が似てる……とか。目で追ってるわけではないのだが誰かを見るとそう自然と考えてしまう。馬鹿みたいにそいつを思い出す。そのたび、嫌気がさす。だってまるで俺がいつもいつもそいつを想ってるみたいじゃないか。まったく面白くない。
 あんな平凡顔がいけないんだ。もうちょっと特徴ある顔だったらこんな思いせずに済んだのに、腹立たしい。……今「なんだ、ただのノロケじゃん」とか「恋する少女(少年)か」とか思った奴PKしてやるから表に出ろ。特別に憑神で墜としてやる。
 ノロケてんじゃねぇよ、本気で悩んでるんだから。名前も知らない赤の他人の顔見て、アイツのこと思い出して、あの――女子に言わせると、甘い王子様スマイルをいつもいつも思い出すこっちの身になってもらいたい。

「亮ー、お待たせ……って、会って早々、眉間にシワ寄せて睨まれても……」
「……」

 待ち合わせ場所五分前に現れた俺の恋人。優一の顔を見つめて……またどんどんイライラしてきた。

「この顔が悪いんだ」
「……はい?」
「かーおーがーわーるーいーッ!!」
「ひ、ひたい、ひ、ひほいっ……!!」

 いきなり両頬引っ張られて『顔が悪い』なんて言われてもそりゃまともなリアクションはとれないだろう。「痛いしヒドい!!」というセリフも典型的だ。顔に同じく。
 こんな顔で、けっこうお人好しで、笑顔は可愛くて、馬鹿みたいに優しい。
 ……なんでこんなヤツが好きなんだろう。


認めねぇよ!
(ゾッコンだとか、惚れた弱みとか、そういうこと)(ぜってぇ言わない)
シラバスはMr.平凡代表←

好きだからこそ悪いところが見えないってこともあると思いますが、反対に好きだから悪くいえるってのもありますよね。
ほっぺた引っ張られてわけわかってなくて涙目だけど笑ってる優一さんにキュンキュンしちゃう亮さん。もっとイライラしていろいろ髪ぐしゃぐしゃにしたりしだすんだけど端から見るとただイチャついてるだけにしか見えない、ということに気がつかない。というか気づいても認めない。


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※D.C.水曜日1のちょいネタ。カイト←ブラックローズ。カズ視点。








 戒仁の家を出て数分。
 月明かりが綺麗だなぁ、なんて酔った頭で考えつつ、姉さんが先ほどから無言なので様子を伺う。家の戸をまたぐ、その瞬間まではあんなに酔っ払い特有の上機嫌そうな風貌を取り繕ってたのに。
 住宅地から離れ、大通りで人と車が行き交うところまで来てみるとピタリと姉さんは立ち止まった。思わずぶつかりそうになったが、つんのめりつつ足を止める。どうした、とノドが告げるより早く、

「ふーらーれーたぁぁぁぁぁあ!」

 ボロボロ涙をこぼし、絶叫。周りにいた歩行者の視線が向けられる。俺はそっとため息をつくしかない。笑い上戸、絡み上戸、そして最後に行き着くのは泣き上戸なのだ。
 あのとき、あの場所で泣き出さないか心配したけど、杞憂に終わってよかった。こんな公の面前はかなり迷惑だけど。

「戒仁のばかぁぁぁ!ぼくねんじぃぃぃぃん!」
「はいはい、歩かないとと邪魔だからね」

 言い聞かせて、腕をひっぱる。そのまま人の流れに乗るように歩き出せばちゃんとついきた。そして涙と悪口も怒涛にあふれているようだった。

「なによぉぉっ何年の付き合いだと思ってんのよぉぉぉ!ずぅぅっと好きだったのにぃ!察せっばぁかっ!」
「六年も連んでるんだから、戒仁の性格知ってるだろ?」
「そぉぉよ!知ってるわよ!ニブちんで、お人好しで、どこかズレてて、ゆーじゅー不断で、誰にでも優しくて甘くてぇ、キメるときはキメてくれるふいに格好いいとこ見せてくるからドキドキさせられてぇ」
「途中から惚気に」
「あいつはハッキリ言わなきゃわかんないって知ってたわよぉぉ!でも、でも、でもぉぉ……」

 またその場に立ち止まり、子どもみたいに何を気にすることなく泣きあげる姉さん。今日のマスカラ、ウォータープルーフのようで黒い涙にならなかったのは幸いだが、鼻水まみれて顔面崩壊だ。さすがの弟という身分でもひいていいだろうか。現実そういうわけにはいかないけど。
 姉ちゃんのカバンからティッシュを取り出し差し出せば、ひったくるように奪っていく。ああ、あぁ、アイシャドウも気にすることなく拭っちゃって、もう。
 次はとりあえず、女の人にしては筋張った手を握りしめて歩き出す。鼻をかんだり、すすったり、嗚咽を漏らしたりしながらもちゃんと従う姉さんは昔なら考えられない。姉さんの腕をひかれていたのは、どちらかと言えば俺だった。そう考え深くなりながら夜道を進んで、また空を見上げる。

 大事な相棒なんだろ、もうちょっと見てやれよ。ばか戒仁。

 そんなふうに文句をつけたくなる。うじうじそのままにしていた姉さんだって悪いよ、それはそうだ。いつものように竹を割ったような性格で告げてしまえばよかったのだ。でもさ、恋って誰だって臆病になるだろ。春が来たならわかるよな、戒仁?
 あんまり思っちゃいないんだろうけど、姉さん、ちゃんと女性で、それ以上に女の子なんだよ。

「……カズぅ」
「なに」
「もう、諦めたほうがいいのかなぁ……」

 弱気の姉さん。答えなんて出てるくせに。

「そうしちゃえば?」
「……ごーこんとかでちゃってさ」
「うんうん」
「イイ男なんて他にもいるしね」
「そうそう」
「アタシだって、これでもモテないわけじゃないし」
「そーだそーだ」
「戒仁だけが男じゃないわよ」
「そのとおーり。もう忘れちゃえよ」
「…………やーだ……」

 だよね。六年越しの片思い、そんなすぐに諦めがつくなら、とっくの昔に終わってた。


「戒仁のばかぁぁぁ……だいすきぃぃ……」


都会の中心でなに愛を叫んでんだか。
(酔いが冷めた瞬間の姉さんの自己嫌悪が見物だ)
片思いのままの晶良さん。
さすがに戒仁の相手が三崎(男)とはバレていない。素面ならピンときてしまったかもしれないが、酒と失恋のショックで考えられなかった、ということで。
またしばらくしたらこの姉弟に登場してもらう予定です。


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 目の前のお化けが消えた。ログアウトを見届けて身をひるがえす。耳鳴りがした。頭に鈍痛が居座り、気持ち悪い。いつもそうだ。PKすると、こうなる。PKされもそうだった。不快感が感情をもみくちゃにする。

 殺すのも、すぐ慣れるはず。もう殺されてもなにも思わないし、『昔』もそうだったじゃないか。

 再びザ・ワールドにのめり込んでもう数ヶ月。最初の頃みたいに、地べたへ惨めに這いつくばることもないほどに強くなった。
 PKを返り討ちにした凶器を振る。昔からのクセだ。それをやるといつも鮮明に蘇る声がする。

 彼の声は、とても心地いい。
 しかしその穏やかなもの満たされる反面、心の表面は乾いていく。ざらざらになり、ささくれだって、痛みを伴い記憶とともに少しずつ風化していく。

 もうその声が、本当に彼のものかすら思い出せない。別の誰かのものを、彼の声と思ってる可能性だってある。
 もう彼の瞳の色がハッキリ思い出せない。髪の長さが正確に思い出せない。彼が呟いた何気ない言葉もあたしにくれた大切な言葉も、もう原形を失い、なにもかもあやふやになっている。
 ひとつ、確かなのは――彼という存在自体に、激しく恋いこがれてることだけ。

 もう会えない彼への執着が断てない。未練がましくいるあたしは、バカだ。彼もあたしも嫌いな、バカだった。
 しかしバカでいれば、あたしはここから動かなくていい。目をつぶり、耳をふさぎ、口をつぐんで、ここにいられる。ただ、彼との思い出があれば、『今』はいらないと甘んじた。

 それはとても愛おしい想いであり、途方もなく虚しい行為。

 誰か助けて、なんて言わない。助かりたくなんてない。他人に求めるのは。

 だれか、どうかあたしを、こわして。


「汚れたと思ってんの?」


 突如、声が聞こえた。
 その一言に視界が開けて、彩色が増す。愚かな思考が強制的に遮断される。色付いていた世界だったけど、すべてがまるで見違えるように劇的に変化した。

 突きつけられた、刃。頭上からふわりと現れたPC。背後に着地し、喉元に『芥骨』なんて初期装備の双剣。そんなにPKに自信があるのか、なんて推測するより、思考の整理に躍起になった。
 なんで、今の一言で、世界が不思議なほど澄み渡っているのだろうか。

「三爪痕を知っているか」

 背後へカメラ視点を変えたと同時に、そのPCが囁いた。
 重力が何倍にも膨れ上がったかのように、内臓に響く重みに襲われる。何かされてるわけではない、それは気迫とでもいうのだろうか――そんなものに負かされる日がくるなんて、思ってもみなかった。
 ザ・ワールドはただのゲームだ。今も、昔も。そのはずだ。そうであるべきだ。
 いくら強面のグラッフィック下げて啖呵切られようが、リアルがひょろひょろのモヤシ男の演技ロールだと仮定してみれば、どんな状況だろうと鼻で笑えた。

 しかしこのPCは違う。

 ああ、そうだ。あの人形。生きながらにして、死を魅せた、恐怖の象徴を思い起こさせる。

 彼であった、あの異形な、人形ひとがた
 全身が覚えているそれは、心を揺さぶり、恐怖に戦慄き、歓喜した。涙が溢れる。恐ろしさと嬉しさ、それはどちらの涙か。ただ、にじむ視界で背後のこの人形を曇らせないよう、必死に凝視する。
 記憶する。この人形の姿を。声を。名前を。
 目の前の銀髪で黒いPC。悪意と欲望をどろどろに溶かした文字を彩る声色。名を、ハセヲ。

「し、らない」

 絞り出した声はあまりに貧弱だったけど、止めどなく決壊する感情を押し殺そうとした無意識の結果だった。

「そうか」

 人形はシニカルに笑った。凶悪に。非道に。奥底ではどこか、ツラそうに。
 そして次に紡がれた言葉は、あまりに鋭く冴えていた。

「だったらもう、死ね」




そして、あたしは。化け物に蹂躙おかされ、悦ぶ夢を見た。
『死の恐怖』時代にカール(仁村潤香)と会っててればいいな、って。
ハセヲはPKしてても気づかない。カールはハセヲの中のスケィスに気づいてしまう、という。


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