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世界で見つけた大切なもの
更新:2007/03/26
修正:2009/08/15
「ッ――……」

腕から全身にかけて激痛が走る。DDによる侵蝕。
彼をかばった代償。腕輪ぼくの使命。


 戦闘終了。
 駆け寄ってくる彼。歪んだ必死な顔。
 ぼくは笑う。

「大丈夫だよ」
「本当……か?」
「うん」
「……」
「……昔はもっとDDしないといけない状況もあったし本当に大丈夫だよ」

 一人でダンジョン行かされたり、ウイルスバグだらけの地下とか行ったり。……なんて今じゃ笑いごとで済ませられるけど、あの頃は必死だったな。本当に。
 その頃に比べればこんな身体リアルの痺れとだるさなんて一時的なモノ。ただ、それだけ。こんなことでハセヲは心配しなくていい。

「……」

 抱き寄せられ、ハセヲの胸にうずまる。心地いいから抵抗なんてしない。

「……絶対、無理するなよ。俺には頼れ……」
「……ハセヲは優しいね」

 蝕まれていく身体。それはリアルに影響しても所詮データの集合体でしかない。

 でも君と出逢う事のできたのはこの世界データの中。七年前からぼくは大切なものを此処で見つける。データを超えた何かに触れる。
 守りたい――七年前、仲間たちに思った以上に。
 ぼくは君の為に傷つくならこんな身体、ズタズタに引き裂かれたって構わない、なんて思うんだから。

 ……そんなことすれば最後に傷つくのはハセヲで。もしぼくが壊れたら、きっと君を傷つける。わかってるけど。

 自己犠牲。
 あぁ、やっぱり……大切なものはいつも世界ザ・ワールドから教わる。






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