勝ったんだ……俺は……三爪痕に……っ! 三爪痕を
そうだ……志乃は、志乃は帰ってきたかな?帰ってきたはずだ。志乃、彼女のために、俺は、志乃、がんばったよ、志乃、褒めて、くれるか? また、変わらない微笑みを、くれるか、……シノ、……シノ……しの、しの、おれは、かいと、を、……かい、? ……か…い……と…?
『かいと』って……だれだ。
……わからない、……わからない……わからない。わからないわからないわからないわからない――……わかりたく、ない?
目の前に光が落ちた。三爪痕を守るよう立ちふさがるのは蒼海のオルカ、蒼天のバルムンク――。
「ハッ、ハハッ……んだよ、お前らも来たのかよ。……今、なんだか胸くそ悪ぃんだ。お前らもそいつ共々……撃ち殺してやるぜぇええぇぇッ!!」
涙しながらも狂気に笑いがあふれる。
銃を構えた。殺したい。壊したい。全てを。
何もかも放棄して、紅に塗り替えていく……――身体も、思考も、記憶も、ハセヲも、……
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